『知的生命体の条件』

部屋に入ると天井からバナナが吊り下がっていた。
試しに飛びついてみたが、50cm程指の長さが足りなかった。


助走を付け、踏み切りのタイミングを調整し、
力の流れを感じ、空中での美しいポーズを追求し、
この必殺ジャンプの名前を考え、そして叫んだ。


だがそれでも、バナナに手は届かなかった。


私はとりあえず体を休めるため、
部屋に転がる直方体の一つに座り、
やはり床に落ちていた手頃な棒を弄りながら
次の一手を練った。


*****


一方、一部始終を観察していた
地球生物知的レベル調査団の異星人の面々は、
このユニークな被験体22.5号の評価に頭を悩ませていた。


現在22.5号は「絵画部屋」に進み、
用意された筆や絵具には目もくれず、
絵が描かれるはずだった紙を黙々と折り続けている。